2011年夏、突然我が家でこうもりを飼うことになりました。
一生に何度もあることではないので記録しておこうと思います。
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2011/8/10 コウモリ発見
朝、玄関外階段に何か黒いものが・・・。枯れ葉が舞い込んだ?
顔を近づけて見れば、あ、毛が生えてる、耳もある、こうもりだ!ちっちゃい。3,4センチといったところか。
全然逃げようとしないで縮こまったまま動かない。弱っているというよりおびえているようだ。
たぶん今年生まれた子が迷子になったのでしょう。今夜親が探しに来るかもしれない。そっとしておこう。
昼を過ぎても同じ所にいるので、踏まれないように牛乳瓶受けに入れておく。
この団地の牛乳瓶受けは、外壁を彫り込んだだけのものなので、人目に付かず小動物は出入り自由なのだ。
この暑いのに1日コンクリートの階段にいたんだ、ミイラになってしまうぞ。丸めたティッシュに水を含ませてそばに置いておいた。
この日のツイート
きゃーかわいい。玄関先にコウモリがいた!君そんなところにいたら踏まれるよ。ひょいとつまみ上げたらチーチー鳴いた。ジャンガリアハムスターに羽が付いたみたい。物陰にそっと置いてやったが弱っているのかな?
2011/8/11 保護しちゃった
朝、牛乳瓶受けをそーっとのぞいてみる。どきどき。
いた、昨日のまま丸くなってる。親は探しに来てくれなかったようだ。
このままではひからびてしまう。保護するか。
素手で触っていいものか。生き物は何でも平気な方だがコウモリは触ったことがないので一応軍手をしておこう。(昨日は素手でつまみ上げたが・・)
暴れることもなく簡単に捕獲。
ほこりだらけだったのできれいに拭いてやる。ひたすら怖がって縮こまってる。とりあえず水を飲ませなくては。スポイトで飲ますと少し飲んだ。
軍手にしがみついて離れようとしないので、軍手ごとハムスター用のかごへ。
本当は怪我や病気をしていないか全身チェックをしたいところだが、人間に捕らえられて怖がっている生き物にこれ以上ストレスは与えないようにしよう。見た目はきれいだしね。
さて、何を食べるか調べなくては。
PCで検索したらいろいろ出てくる。いきなり「コウモリを拾ってしまったら」なんてサイトがヒットした(^.^)
へー、世の中拾ったコウモリを育てている人結構いるんだ。
うちで拾った子は小コウモリのアブラコウモリらしい。
頭胴長40㎜。体重は最小目盛10gのキッチンスケールでは針が振れず測定不能。
この日のツイート
昨日のコウモリ、今朝になっても同じところで丸くなっているので結局保護しました。保護したものの君はだれ?何食べるの?・・ググってみたところアブラコウモリの幼獣のようです。ミルクと虫を食べるみたい。うまく育つかな。一応野生動物なので、市に届けなくては。
脱走した!
2日間は、怖がって(弱っていたのかもしれないが)ひたすら軍手にしがみついたままじっとしていたので油断しました。朝かごを覗いてみたらいない。やっぱりハムスターのかごでは目が粗すぎた。
さてどこへ行ったかな。あんなに濃い焦げ茶のちっこいのがどこかに潜り込んだら探すの大変だ。
1日家宅捜査をして見つからず。次の日は耳を澄ませて少しでも物音がしないか見張っていたけれど気配なし。
あんなおちびが2日も飲まず食わずだと死んでしまうだろう。ある日ミイラになって出てきたらいやだな。
どこか隙間から外に出てしまったかとあきらめて、夜お風呂に入ったら糞が落ちてる。一応風呂場に来たのなら水は飲んだね。さあどこだ?
その頃のツイート
コウモリが脱走した。脱走できるくらい元気になったんだ。ところでどこ行った?
コウモリちゃん行っちゃったみたいです。まだ自立できないと思うんで、親にちゃんと会えるといいな。3日間世話をしただけですが、かわいかったなー、ちょっとペットレス・・・
コウモリいた!お風呂場の隅に張り付いてた。外に出てなかったんだ。よく生きてたな-。脱走してから2日間何も食べてないはず。すっかり体がしぼんでいたけど牛乳をスポイトでやったらごくごく飲んだ。元気そうだ、やれやれ。
飼育の基礎知識
ネットで調べたりやってみたことをまとめておきます。
<飼育箱>
小コウモリの場合、網の目の大きさが5㎜位でないと脱走します。
ハムスター用のかごは横桟になっています。これだとコウモリの細い翼の骨がひっかっかた場合骨折してしまうので避けましょう。縦横の格子か亀甲の編み目になったネットがいいようです。
うちでは昆虫用の飼育ケースで飼いました。
寒いときや隠れたい時に潜り込めるよう布をぶら下げておきます。
狭いところに潜り込むのは大好きです。
<餌>
主食は虫。バナナ、鶏卵、フェレット用ペットフードも。赤ちゃんは牛乳か猫用ミルクを飲むらしい。
市販のミールワーム(甲虫の幼虫)は大好物です。ただし高脂高カロリーなので、これだけで育てるとメタボになります。
家庭菜園をしているので、青虫をよく捕ってきて与えました。
保護したときはまだ幼獣だったので、牛乳、バナナとゆで卵の黄身の練り餌、数㎜の青虫をよろこんで食べていました。
ためしに自家製の豆乳ヨーグルトをやってみたら気に入ったようです。
フェレット用ペットフードはビタミン類の補給のためにも与えるとよいようです。数時間水に浸してふやかしたものを、バナナと練って与えます。
1日に何回やったらいいのかも判らないので、朝晩2回やっています。
<水>
市販の給水ボトルでもいいですし、器に水を入れておいてもいいです。
水に濡れるのが嫌なようで、離れたところからめいっぱい首を伸ばして口の先でチョンチョンッていう感じで飲んでました。
<毛づくろいとトイレ>
幼くても自分できれいに毛繕いをします。翼の幕はスーパーストレッチ素材でできていて、ビヨーンと引き延ばしながらなめている姿は見ていて飽きません。
トイレの場所は決まっていません。食べたらその場で出るようです。
逆さまにぶら下がっていて,急に頭を上にしたら排便か排尿です。ぶら下がったまま用を足したら自爆してしまいますもん。
男の子?女の子?
保護した次の日に、とっても嫌がったけどひっくり返しておなかを見せてもらいました。
ん?何にも付いてないね。女の子だ。
ところが9月に入って、すっかり成獣になると様子が変わってきた。
牙むき出しで虫に襲いかかる姿は何だか凶暴。おしっこも匂いきついし、顎も厳ついし、君本当に女の子?
よくよく見たら立派な物が付いていました。ネットで調べたときこうもりは雌雄の見分けは簡単って書いてあったのですが、幼獣の時はわかりにくいのね。
好き嫌い
食べ物の好き嫌いははっきり意思表示します。
保護して1週間は牛乳、バナナと卵の黄身を練ったものを食べていました。
何か虫をと思い3㎜ほどの青虫を捕まえてきて与えたところ、急に牛乳は飲まなくなりました。離乳したのかな?それではせっせと虫を捕ってこなくては。
ところが思うような大きさの青虫なんてそう見つかるものではありません。この子の口に大きすぎるとちぎってやらなくてはなりません。ゾゾーッ。
このころのツイート
コウモリの子供の口には大きすぎる芋虫を、ピンセットの先でちぎるのエグイ。1匹の命を育てるため、たくさんの命をいただきます。
ただ今子コウモリのお食事タイム。ちょっと食べては休み、ちょっと食べては休み、時間のかかること。本日のメニューはバッタの幼生3匹、バナナと卵の黄身を練ったもの、それからなんと豆乳ヨーグルトを食べた。
ピンセットでいちいち口元へえさを運んでやらんと食べないので手のかかること。自然に帰してやるつもりだったけど、これじゃ無理そうだ。
菜園から帰ってきました。今日の収穫はキュウリ、なす、ピーマン、おくら、ししとう、それからコウモリちゃんのために芋虫が7匹。
コウモリちゃん、昨日あたりから生きた芋虫を平気でもりもり食べるようになった。それはいいんだけど、今まで喜んで食べてたバナナやヨーグルトを嫌がるようになったので、えさの確保がたいへんだ。
芋虫は夜に出てくるので、懐中電灯を持って探しに行くと、電灯の光にカゲロウガ寄ってきてごちそうをゲットできたこともあります。
よく食べるようになって、餌の虫を十分確保できないのでペットショップでミールワームを買ってきた。薄茶色で見てくれ悪い。堅そうだし。
はじめ堅くてなかなか食べられないので、はさみでチョキチョキ(え~ん、きもち悪い)していたのですが、数日で頭からむしゃむしゃ食べるようになりました。
1日の適量がわからないので好きなだけ食べさせたら、30数匹食べた。これを3日ほど続けたら、顔がまるまるしてきて体が重くて飛べなくなたので、食べ過ぎだとわかった。
青虫、バッタ、バナナ、ミールワームいろいろ混ぜて20匹位が適量か。
ミールワームはとっても美味しいらしく、バナナも畑で捕ってきた青虫も全く食べようとしない。意地でもたべません!ってすねてる仕草が可愛いんだけど、好き嫌いはだめよ。ミールワームのみで育てたら、高カロリーのため肝硬変で死んじゃった例もあるそうなので。
おなかがすけば何でも美味しい。そこで餌の量を半分にして1日飢えさせた。
背に腹は代えられないらしく、いやいやバナナ、青虫を食べる。食事の最後にミールワーム。目の色変えてがっつく。ピンセットにまで食らいつく。
9/22のツイート
いた~~い!コウモリにおもいっきりかまれた~~~!いえいえ、怒らせたのではありません。手のひらに芋虫を乗っけてほらっと差し出したら、あわてて飛びついて狙い損ねて私の指をガブリ。どんくさ。
本人は「捕まえた!」と思っているから食いついてなかなか放さない。「早く気づけよ、痛いやないか」と放すのを待つこと数秒。あー痛かった。
歯も鋭いのですが、顎の力がすごい。ニッパーで挟まれたようでした。
9月に入ってしばらくしてすっかり成獣になったようです。保護した頃はうっかりかまれても全く痛くなかったのに、立派な牙が生えて、餌に飛びかかる姿も凶暴になりました。素手で餌をやるのは危険です。
ビタミン類も必要なので、フェレット用ペットフードを水でふやかした物も与えるようにしています。
8/21
写真では何だかよくわかりませんが、バナナ,卵,ヨーグルトの練り餌を少しずつ食べています。
こんなにちっちゃい。
10/2
ラップの芯に入ってご機嫌。
右下のお皿に入っているのがミールワーム。
10/2
ミールワーム大好き!
飛んだ!
8/18のツイッター
コウモリの飛翔はなかなか優雅。君上手に飛べたのね。うちで保護して1週間、全く飛ぼうとしなかったから飛べないんだと思ってた。自分でえさを捕れるなら放してやるんだが、見極めが難しいな。
この時は手の上で食事中に急に飛んだのでびっくり。いきなり台所から隣のリビングの端まで スイーっと飛んでいきました。全くの無音であることが不思議な感じ。小鳥でも昆虫でも羽ばたき音がするじゃないですか。コウモリはちゃんと羽ばたいているのに無音なんです。
飛べることがわかったので、時々部屋に出して飛ばせています。食後すぐは糞をするので食間に。なんせ小さいしすぐ狭いところに潜り込もうとするので目が離せません。
飛べると言っても一直線に飛ぶだけで、コントロールはできないようです。旋回ができないのでヒューンと飛んで壁にボカン。
適当な物を目標に飛んでそれに摑まるということはまだできないようですね。
9/29のツイッター
コウモリ君、壁に激突しないように、飛びながらブレーキをかけることを覚えました。でもまだ旋回ができないんです。ひたすら一直線にひゅーーーーーんガン!ドテッ。
脱毛症
保護して10日程から喉の下の毛が抜け始め、更に10日ほどで胸まですっかり毛が抜けてしましました。
肌は無傷できれいな肌色をしています。掻きむしったわけでは無さそう。これがストレスから来る脱毛というやつでしょうか。
何がストレスかなぁ。飼育ケースや餌をいろいろ工夫しても、群れで生活するコウモリがたった1匹で人に飼われる事がストレスですよね。
よし!群れる生き物にはスキンシップだ!
食事の後、手の上でまず背中からなでなで。ちょっと緊張しているが嫌がりはしない。
では頭もなでなで。これも全く嫌がらず。耳の後ろから眉間あたりはなかなか気持ちよさそうにしている。
次に口から喉の下を触ろうとすると指を噛みに来た。今日はここまで。
次の日も背中から脇腹、頭、眉間と順番になでていって、口の周りから喉へ、この日は嫌がらずなでなでされていた。
でも、おなかを触ろうとすると噛みにくる。おなかは急所だもんね。
毎食後なでなでタイムをしていたら、3日目におなかも触らせてくれた。
おなかはよほど気持ちがいいらしい。全身力が抜けてしまってふにゃにゃにゃ~ん。手も足もふにゃ~~。恍惚状態であります。なでてる私も癒されるわ-、しあわせ(^^)v
野生動物がここまで無防備に触らせてくれるとは・・
これが効きました。次の日からうっすら産毛が生えてきて、2週間ですっかり毛が生えそろいました。もちろん毎日たとえ数分間でもなでなでしています。
幼獣のころは背も腹も焦げ茶色でしたが、成獣になると背は焦げ茶、腹は灰色の毛が混じってウルフ柄になります。細かいビロードのような手触りで、なでていてほんとに気持ちいい。
鳴き声
幼獣はチーチー鳴きます。ちゃんと人の耳でも聞こえます。
それも首筋をつまんで持ち上げたときだけですね。手のひらに乗っているときも良く鳴きますが、これは超音波なので聞こえません。口を大きく開けて全身がバイブレーションになるので、あぁ超音波を出しているなとわかります。
成獣になると超音波だけです。雄と雌で違うかもしれませんがうちでは人の耳に聞こえる声は出しませんでした。
身長体重測定
保護したとき頭胴長40㎜、体重測定不能。
しっぽはいつもおなかの下に巻き込んでいるためなかなか測れません。30㎜位でしょうか。
何とか体重を量りたいのですがどうしましょう。ダンナが1円玉は1gだよ言ってくれたのがヒントになって、10月になってやっと竹籤で天秤を手作り。さあお皿にじっと乗っていてね。
1円玉3枚では軽すぎ、4枚では重すぎ。3,5gといったところでしょうか。
頭胴長は45㎜。5㎜成長したね。
10/2
あ、ごちそう落とした。
もぐもぐがハイスピードなので,どうしても顔がぶれます。
肘、手首、わかります?後ろに突き出した物が指先です。
画像を大きくしてみて下さい。
急変
10/12朝、いつものようにご飯だよ-っとケースを覗くと、ケースの中が床も壁面も下痢便だらけ。おまけに赤っぽい。わっ、血便だ・・・なんでどうして?ゆうべあんなに餌にがっついて元気だったじゃないか。一晩でこうなるわけ?
小動物は下痢が怖いです。ここまでひどい下痢だと何も食べようとしません。じっとぶら下がったままです。飼育ケースをきれいに掃除して様子を見るしかありません。
保護してすぐにやや軟便になったときは1日絶食で治まったけど、今回は下痢がひどい。何とか持ち直してくれると良いのですが、一日中じっとしています。夜も何も食べません。
この日のツイート
今日のコウモリちゃん下痢をしています。目がとろんとして何にも食べようとしません。昨夜はあんなにがっついていたのに。小動物は下痢が怖いです、命取りにならなければいいのですが・・・。
2011/10/13 いのちへ
次の日も朝から全く何も受け付けない。夜中便は出なかったようだ。
水だけは飲まさねばならない。スポイトでやると、3口飲んだ。
そのままぶら下がる元気もないのか飼育ケースの床で丸くなっている。
保温のためにティッシュを掛けておく。いよいよあぶない。
父親の様子を見に行く日だったので、コウモリ君の事も気になりながら出かけて夕方帰ってきた。またぶら下がっていたので生きていると思ったのだが、その姿勢で死んでいました。
何が原因だったんだろう。
いつもの餌で変わったものは食べさせてないし、水やケースの掃除など衛生面は問題ないと思う。
温度?確かに涼しくはなってきていたが、潜り込めるように布をぶら下げていた。
やっぱり群れで生活する野生動物を、たった1匹で人が飼うのがストレスだったかな。ビタミン不足もあるかもしれない。ビタミン不足にならないようにフェレットの餌や畑で青虫を捕ってきたりしていたんですけどね。
何か病気をしていなかったか全身チェックしてみた。毛並みは大変きれい。目やにやよだれも無し。皮膚にも異常なし。爪もきれい。
翼を広げて骨に異常がないか見てみる。生きているときは絶対させてくれなかったね。骨折や変形も無し。翼の端から端まで17㎝。しっぽ35㎜。 体重3g。0.5gやせたね。
首、胸、腹、順番に触診してみた。どこも大変柔らかい。
君、外見上はどこにも異常が無くてこんなにきれいな体なのに死んじゃったんだね。たらふく食べたらボコッてふくらんでた胃袋がすっかりぺしゃんこでふにゃふにゃだよ。
ベランダに咲いてる菊と一緒に、家の前の桜の下に埋めてやりました。ここはうちの子供達が飼っていた金魚、ハムスター、お隣のインコなどいろいろ眠っていてにぎやかです。
正直、君が死んで少しほっとした部分もあります。野生の命を拾ってしまっていいのかな、とずっと思い続けていましたから。
本当なら、親からはぐれて落ちた時点で死んでいた命です。ご縁があってうちの玄関先に落ちたんだよね。君にとってこの2ヶ月間はどうだったの?それが一番気になります。
寿命はせいぜい3年ぐらいらしいけど、とりあえずこの冬をどうやって越そうかなといろいろ考えていたのだよ。残念だ。
こういう形で自然に帰すことになってしまった、生きて帰してやれなくてごめん。
合掌
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コウモリ君、死んでしまいました。やっぱり下痢が命取りになりました。この2ヶ月間、君のお世話楽しかったよ。どうもありがとう。